【解説】敏腕代理人ライオラがユナイテッドに送り込んだ選手たち<サポーターコラム>

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マンチェスター・Uの“CF騒動”が思わぬ形で終結した。

当初は、レアル・マドリーで不遇の時間を過ごしていたスペイン代表FWアルバロ・モラタが、

昨シーズン、リーグ戦28試合出場17ゴールでチームを引っ張っていたスウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモヴィッチの代役となる見方が大半であった。

  

二転三転する今夏の移籍市場

何より、モラタ自信がそう考えていたことだろう。自身のインスタグラムのアカウントではユナイテッドの選手を続々と“フォロー”し、「さぁ、いつでも移籍する準備はできているぞ」と言わんばかりの態度を見せつけていたのだ。

しかし、事態は急転直下、10日にユナイテッドはエヴァートンからベルギー代表FWロメル・ルカクの獲得を発表。確かに(チェルシーからのローン加入も含め)、エヴァートンに在籍した5年間で140試合出場67ゴールの記録はレアルでフランス代表FWカリム・ベンゼマの控えに甘んじていたモラタよりはインパクトは大きい。

だが、これではあまりにもモラタへの興味がルカク獲得への“布石”として使われた感が強い。メディア操作から何から、かつて無能とサポーターの間で呼ばれていたエド・ウッドワードCEOにしては巧みすぎるのだ。

切っても切れないライオラとユナイテッド

 

そこで、当然のように浮かび上がってくる人物が“敏腕”代理人ミノ・ライオラだ。ルカクはもちろんの事、先日、退団騒動でフットボール界を沸かせたイタリア代表GKジャンルイジ・ドンナルンマや、“永遠の悪童”マリオ・バロテッリなど世界中に大物顧客を持つこの男だが、以前からユナイテッドとの関係が非常に強い。ウッドワードとも懇意にしており、今回のルカク獲得でも、一枚どころか何十枚も噛んでいた可能性が高いのだ。

ここに飛びついたのが、米メディア『ESPN』だ。ライオラがこれまで何人もの大物選手を超がつくほど高額な移籍金でユナイテッドへと加入させてきたのかを企画として紹介した。

「ゴミ」と切り捨てるほどライオラを異常に毛嫌いしている前指揮官サー・アレックス・ファーガソンが顔を曇らせそうな企画だが、サポクラとしてはこのような情報も発信していくのも義務なの(個人的に面白いと思っただけ)である。

1.GKセルヒオ・ロメロ(アルゼンチン代表)

移籍金:フリー

いきなりのフリー契約選手で申し訳ないが、ロメロもまたライオラの顧客であり、大物選手だ。クラブレベルでは中々評価を得られていないが代表では85試合に出場し、長く守護神として活

躍中。2008年の北京オリンピックや昨シーズンのヨーロッパリーグ(EL)でもチームを優勝に導いた。ユナイテッドの絶対的守護神ダビド・デ・ヘアの牙城は未だ崩せていないが、優秀なバックアッパーとして役割を果たしている。

2.MFヘンリク・ムヒタリアン(アルメニア代表)

移籍金:2700万ポンド〜3000万ポンド(約39〜44億円)

先日のEL決勝でチームを優勝に導くゴールを決めたムヒタリアンは、昨夏イブラヒモヴィッチ、ポール・ポグバとともにユナイテッドに加入。2017年で契約が満了し、フリーでの放出となることを回避したかったドルトムント側の隙にうまく入り込んだものだった。当時、ドルトムントのハンス・ヨアヒム・ヴァツケCEOは「交渉は適切なものだった」とコメントしたが、選手本人は「ライオラは知的で、残酷な男だ」と意味深な発言を残している。

3.MFポール・ポグバ(フランス代表)

移籍金:9380万ポンド(約123億円)

世界最高額の移籍金でユナイテッドに復帰したポグバも彼の代理人である。おそらく、ファーガソンがライオラを嫌悪するきっかけとなった移籍だろう。2012年、当時19歳のポグバは出場機会を求め、ユヴァントスへ移籍金0で加入。しかし、ファーガソンによると、「ポールとは3年の契約を結んでいたし、1年間の延長オプションもあった。我々はサインする予定だった。しかし、奴(ライオラ)が突然現れ、失敗に終わった」ものだったようだ。その後、イタリアの地で成長を果たした23歳のポグバ青年に123億円も払う羽目になったのだから、親の仇のようにけなすのは当然とも言える。

4.FWズラタン・イブラヒモヴィッチ(元スウェーデン代表)

移籍金:フリー

高額な移籍を成立させるだけでなく、彼のような世界最高クラスのストライカーを資金をかけず加入させることができるのも“敏腕”たる所以なのだろう。「メイウェザーとパッキャオの夢の対戦のようなもの」と語ったイブラヒモヴィッチの言葉にも、いかにこの移籍の実現が難しいものであったかが伺える。

5.FWロメル・ルカク(ベルギー代表)

移籍金:7500万ポンド(約110億円)

先述した通り、当初はモラタがユナイテッドに加入し、ルカクがスタンフォード・ブリッジに帰還する、というのがメディアの大方の予想だった。しかし、ライオラはライバルであるチェルシーを関心という「外」も利用し、この交渉を成立させた。「内」からは、普段から仲のいいポグバにオフシーズンを共に過ごさせ、“仲介人”の役割を自然と作り上げた。ベルギー代表のチームメイトでもあり、同じくエヴァートンから加入した“先輩”、マルアン・フェライニに「このクラブがどれだけ偉大かを知ることになる」と若干、宗教めいたメールを送らせた……。なんてこともやりかねない危険さを漂わせているライオラ氏である。

今回、紹介したようにライオラとユナイテッドの関係位は非常に深い。今夏も噂は多々上がってはいたが、将来的にゴールマウスを守っているのはジャンルイジ・ドンナルンマなのではないかと、そんな気にさえなってしまう。それほどに昨今のフットボール界では代理人の存在感は絶大なものとなっているのである。

書き手

氏名

田口詩遊(たぐちしゅう)

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一言コメント

日々、勉強させて頂いてます。ライター志望。大学生しながら編集してます。

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