英メディア「Squawka 」が、
マンチェスター・ユナイテッドの新規加入選手ネマニャ・マティッチを特集する記事を掲載した。
本記事では、それを翻訳し、わかりやすく加筆修正している。では、どうぞ。
移籍は完了した。
ネマニャ・マティッチはジョゼ・モウリーニョ監督が待つマンチェスター・ユナイテッドへの移籍を決意した。
ルカクのユナイテッド加入で流れたかにも見えたマティッチの移籍だが、終わってみればモナコから加入したMFバカヨコの影響で余剰戦力放出という典型的な玉突き移籍だった。
マティッチのポジション
モウリーニョの選手獲得希望リストから今夏3人目のマティッチの名前が消えた。残す補強ポイントはウイングのみである。
ルカクに関してはイブラヒモビッチに変わる点取り屋としての役割が求められる。ヴィクター・リンデロフはセンターバックとしてスタメンをもぎ取らなくてはならない。そしてイヴァン・ペリシッチをマティッチの加入で強化された中盤に4人目として組み込もうと睨んでいるところである。
このセルビア人のタスクはマイケル・キャリックとは違うようだ。今年で35歳になるキャリックは昨シーズンユナイテッドの中盤が2人から3人へ変わり、ポグバとアンデル・エレーラの後ろを支えた。チェルシーとしては、マティッチは長身の潰し屋という役割であって、キャリックのようなパサーの選手ではない。
数字にも表れている。14−15シーズン以降 マティッチは200回以上タックルで勝利しているのだ。具体的には、211回 ヴィクター・ワニャマ、208回 イドリッサ・ゲイェ、206回 エンゴロ・カンテに次いで4番目に多いのが、201回 ネマニャ・マティッチだ。モウリーニョはどう考えているのだろうか。
これまでのユナイテッド課題はアンカーだった
フェライニはもう1人のアンカーにおけるファーストチョイスだった。最初はポグバのパートナーとしても見られていたし、さらにその味方に懐疑的だったファンに最初の5試合でパス成功率90%という結果を叩き出した。
とはいえこの正確さはアンカーというポジションのおかげでしかない。その丁寧がひきおこす遅さゆえ相方であったポグバにすでにプレスがかかっている状態を生み出していた。
ポグバはこの足かせに悩み、大事な場面でも前線に上がったり、スペースに走りこんだりすることができずにいた。
その後、エレーラの方が優秀なパートナーになるのではという声が上がった。エレーラは頭の回転が早く、独自のビジョンを持っている。 シーズン後半、フェライニは中盤の前へとポジションを移した。その大きなサイズを生かし中盤のターゲットマンという以前の役目に戻った形だ。ヨーロッパリーグの決勝戦でもアヤックスは彼の空中戦でのパワーと存在感に対応するのに手を焼いていた。実際、昨年のヨーロッパリーグでフェライニは21回中15回勝利している。
マティッチのプレースタイル
マティッチは195cmおおよそフェライニと同じ背丈ではあるが、ベルギー代表MFより足元のうまい。簡単にいうとフェライニとエレーラの中間のプレースタイルといったところか。
マティッチはフェライニほどの空中戦の強さはなく、戦闘的とも言えない。反対にエレーラのようなクリエイティビティも持ち合わせてはいない。キャリックが持っていたプレーメーカーとしての役割にはおそらくフィットしないが、キャリックやフェライニより優れた壁としてバックスの前に立ちはだかるだろう。
思い返せば、ダビド・ルイスとのトレードのような形でチェルシーからベンフィカに移籍した2011年は若手のウイングとして買われていった。そう当時はウイングだったのだ。
だが、ベンフィカではマティッチを前線で使われることはほぼなかった。ルイス・ファン・ハール監督のもと、サイドから真ん中へとポジションを移したバイエルンミュンヘンのシュバインシュタイガーと同様に、マティッチのポルトガルの地でボックストゥボックスの選手へとコンバートされた。ちなみにマティッチは同じくユナイテッドで2年間プレーしたシュバイニーと同じ背番号である31番をつける。
ユナイテッドでの起用法
モウリーニョがマティッチをどのように起用するのかは今の所は不透明だ。モウリーニョがマティッチとサインするのは今回で2回目である。2014年にマティッチは3年半契約でスタンフォード・ブリッジに復帰し、2015年と2017年にリーグタイトルを獲得した。だがそのとき、2015年と2017年ではマティッチの役割は少し違っていた。
プレミアリーグを初制覇した2015年では相棒のセスク・ファブレガスを前線で自由に動かすため中盤のほぼ全権を任されていた。モウリーニョはチェルシーの中盤での弱さを理解しており、セスク・ファブレガスに多くの自由と後ろにマティッチという壁を置くことでを与えることで、新たな形を生み出そうとした。
小柄なスペイン代表MFがピッチのあらゆる場所でボールを受け、様々な角度からパスで切り刻み、そしてその後ろを大柄なセルビア代表MFがそのギャップを埋め、後ろカバーし、危険の目を摘み取り、中盤を制していた。2016年に優勝したレスターのエンゴロ・カンテのプレーに似ているだろう。
そして昨シーズン、マティッチはそのカンテとともにコンテの指揮する3−4−2−1のダブルボランチとして精力的に活躍した。フォワードとウイングバックが前線に上がっているとき、マティッチとカンテの片方は攻撃参加し片方がバランスをとっており、その判断は2人に任せられていた。
マティッチはどちらかというとサイズやフィジカルを使い、1対1を制すことで相手を押し込み、中盤と攻撃陣をつなぐ役割を見せていたように見えた。そのさらに前ではカンテが強固なディフェンス陣をこじ開ける仕事をしていた。
マティッチはどうマンチェスター・ユナイテッドにフィットするのか。
マティッチはユナイテッドで3つの明確な役割をこなすことになるだろう。彼はそれほど不器用ではなく、フェライニの上位互換、最悪でもボールポゼッションをしている間はファウルの数も少なく、お粗末なタッチでポゼッションを途切れさせることもないだろう。空中戦ではさほど強くはないかもしれないが。
モウリーニョはマティッチのフィジカルとボックストゥボックスの動きで相手のプレーを乱すことが出来ると考えているようだ。フェライニのように鋭い肘でのファウルを懸念することは、マティッチならない。より冷静だ。フェライニほど空中戦で勝つこともないだろうが。
あるいは、チェルシーでファブレガスの後ろを守ったように、マティッチをポグバのボディーガードとして起用することも考えられる。しかし今はエレーラがポグバにとって良きパートナーであるのもまた周知の事実だ。エレーラはプレーメークの部分を担い、何度もカバーのために奔走した。さらにタックルやインターセプトもこなし、中盤を活性化させる役割に貢献した。
プレミアリーグやカップ戦、それに今年は2年ぶりのチャンピオンズリーグがあるのでエレーラにもマティッチにも大量の試合が待ち受けている。やはりローテーションは避けて通れないだろう。もしくはポグバがトップ下でプレーする場合は、2人がダブルボランチということも考えられる。
中盤が3枚になる場合なら、マティッチがアンカーに挑戦する形でも、エレーラがアンカーとして下がるどちらのパターンもありうる。もちろん最善の策とはいかないだろうが、両者ともに時間が経てば適応していくだろう。
中心選手として活躍できるか
おそらく最も重要であるモウリーニョの信頼を獲得するというミッションは既に達成できている。これはそれほど簡単なことではない。マルシャルやムヒタリアン、ショーがいい例だ。マティッチがキャリックと同じ仕事にフィットできずとも、マティッチの仕事への姿勢はモウリーニョ好みのようだ。ポルトガル人監督にとっては、そこが非常に重要のようだ。
エレーラはモウリーニョの元でプレーする際に、いい素行を心がけることや正しいスタンスで練習や試合に臨むことがどれだけ有効なのかをすでに示している。
ポルトでも、チェルシーでも、インテルでも、レアル・マドリードでもモウリーニョは常にすべてにおいて責任を持つことを選手やクラブの様々な部署へ求めてきた。それがシャワールームであったとしても。
マティッチは指揮官からの信頼を得て、役割をピッチでこなすができるだろう。値段の割に高かった移籍金などは関係ない。(ちなみに8月1日に29歳になった。サッカー選手としては結構歳なのだ)
良いスタンスで練習や試合に臨めば、おのずと結果もついてくる。それがモウリーニョの哲学であり、それがマティッチという潰し屋を優先して獲得した理由なのだから。
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